こんにちは、管理人です。もし、交通事故に遭い、不幸にも事故の縫い傷が残ってしまった場合、加害者に対して、縫い傷の慰謝料などを請求することはできるのでしょうか。
傷の大きさや場所によっては、仕事に支障をきたしたり、精神的苦痛が伴ったりすることもあるため、きちんと申請をして「後遺障害」に認定されれば、等級に応じた慰謝料を請求することができます。
今回は、交通事故で縫い傷など残った場合の「後遺障害」認定基準や申請方法について、解説します。
目次
後遺障害とは
交通事故によって負傷し、その後手術や治療を続けた結果、これ以上治療をしても症状が改善する見込みがないと医師が判断した場合は、“病状固定”となり、加害者側からの治療費が打ち切られます。
そして、交通事故による手術の縫い傷も含め、病状固定後に残った外見上の傷跡(醜状障害)は、その程度や内容に応じて「後遺障害」の等級認定を受け、慰謝料などの賠償金を請求することができます。
後遺障害は“等級”で慰謝料が決まる
後遺障害は、『自動車損害賠償保障法施行令第2条』と『別表2』に定められている基準をもとに“等級”が認定され、その等級ごとに決められた保険金額を限度として、加害者が加入している自賠責保険の保険金支払い基準によって慰謝料の金額が決められます。
縫い傷などの醜状障害には、頭・顔・頸部など日常的に露出する部分に傷が残る「外貌醜状」と、手や足の露出面に傷が残る「上肢・下肢の醜状」があり、それぞれ傷の場所と大きさによって等級と保険金額が規定されています。
外貌醜状における後遺障害等級
外貌醜状における後遺障害等級は下記のとおりです。
等級 | 後遺障害 | 瘢痕・線状痕の場所と大きさ | 保険金額 |
---|---|---|---|
第7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの |
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1,051万円 |
第9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの |
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616万円 |
第12級14号 | 外貌に醜状を残すもの |
|
224万円 |
なお、瘢痕については“人目につく程度のもの”とされており、眉毛や頭髪等にかくれる部分については非該当となります。
上肢・下肢の醜状における後遺障害等級
上肢・下肢の醜状における後遺障害等級は下記のとおりです。
等級 | 後遺障害 | 瘢痕・線状痕の場所と大きさ | 保険金額 |
---|---|---|---|
第14級4号 | 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの | 上腕から指先までの部分に手のひら大以上の瘢痕 | 75万円 |
第14級5号 | 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの | 太腿から足の背までの部分に手のひら大以上の瘢痕 | 75万円 |
上肢(手)の露出面とは“上腕から指先までの部分”で、下肢(足)の露出面とは“太腿から足の背までの部分”とされています。
ただし、職業によっては、肩から先や、股関節以下を露出して仕事をするケースも考えられますので、このように“仕事を行う状態で人目につく部分”に瘢痕が残った場合も、後遺障害認定の対象となります。
醜状障害の後遺障害申請方法
縫い傷など醜状障害の後遺障害認定を受けるためには、病状固定後、「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」(以下、「後遺障害診断書」と略記)による申請と、申請後の面接が必要となります。
なお、病状固定の判断をするのは病院の医師であって、相手方保険会社ではありません。
通院期間が長引いた場合、相手方保険会社から「通院をやめて示談交渉したい」などと言われることがありますが、病状固定する前に通院をやめてしまうと後遺障害認定を受けることができなくなるため、医師が病状固定と判断するまで必ず通院を継続する必要があります。
「後遺障害診断書」の作成
「後遺障害診断書」の用紙は、通常、保険会社から入手することができ、「後遺障害診断書」作成できるのは医師のみです(整骨院や接骨院の柔道整復師は書くことができません)。
醜状障害の後遺障害申請では、「後遺障害診断書」の右上にある【醜状障害】欄に、醜状のある場所や大きさや長さ、形態等を図示してもらう必要があります。
なお、大きさや長さを測定する際は、色の薄い部分も含めて測定してもらいましょう。
さらに、「後遺障害診断書」右下にある【障害内容の増悪・緩解の見通し】欄に、醜状障害について緩解の可能性がないこと、つまり、時間が経過しても縫い傷や瘢痕が消えないということを記入してもらう必要があります。
後遺障害申請後の面接
「後遺障害診断書」の提出後、醜状障害については自賠責調査事務所の担当者による面接を受ける必要があります。
面接では、受傷時の診断書や、「後遺障害診断書」、画像などの資料をもとに、醜状の大きさ・長さの測定や、形態・色等の確認が行われます。
事前認定と被害者請求の2つの申請方法
後遺障害等級認定の申請には、下記の2つの申請方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
申請方法 | 申請する人 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
事前認定 | 加害者(加害者が加入する任意保険会社) | 被害者の手続きが楽 | 相手方任意保険会社に丸投げなので、適切な措置をしてくれたかどうか不安 |
被害者請求 | 被害者 | 被害者にとって納得のいく申請ができる | 自分で色々な書類を集めて手続きをする必要があり、被害者の負担が大きい |
事前認定では、被害者は「後遺障害診断書」などの必要書類を相手方任意保険会社に送付するだけでよく、損害賠償金請求手続きはすべて相手方任意保険会社が代行してくれるため、“被害者の手続きは楽になる”というメリットがありますが、加害者が加入する任意保険会社に手続きを丸投げするため、相手方任意保険会社がきちんと適切な措置をしてくれているのか、不安になる可能性があります。
等級認定や非該当の判定結果に不服がある場合は「異議申し立て」をすることができますが、1度決定した等級認定を覆すためには、新たな証拠の提出が必要となり、さらに非該当の判定を覆すのは、よほどのことがない限り難しいと言えます。
従って、きちんと納得のいく後遺障害等級認定を受けたい場合は、被害者の手続きは大変になりますが、被害者請求をする方がおすすめです。
書類不備などがないよう、可能であれば、交通事故に強い弁護士に相談したり、手続きを代行してもらったりすると、より安心です。
申請の結果、後遺障害が認定されると、その等級に応じた慰謝料などが支払われることとなります。
なお、後遺障害に非該当となった場合も、何らかの慰謝料などを請求できる可能性がありますので、諦めずにまずは保険会社や弁護士に相談してみましょう。
まとめ
交通事故によって負傷し、その後、病状固定となって縫い傷など外見上の傷跡が残った場合は、傷の場所や程度にもよりますが、“醜状障害”として後遺障害等級認定を受け、慰謝料などの賠償金を請求することができます。
醜状障害には、頭・顔・頸部など日常的に露出する部分に傷が残る「外貌醜状」と、手や足の露出面に傷が残る「上肢・下肢の醜状」があり、傷の場所や形・大きさなどにより等級が規定されています。
醜状障害の後遺障害等級認定を受けるためには、まず医師が病状固定と判断するまで通院を継続し、病状固定後、医師が作成した「後遺障害診断書」等の書類による申請と、面接が必要です。
なお、後遺障害等級認定の申請には、加害者側が申請する「事前認定」と、被害者側が申請する「被害者請求」の2つの申請方法があり、「事前認定」では被害者の手続きが楽になりますが、相手方任意保険会社に丸投げするため、適切な措置をしてもらえたかどうか不安が残る可能性があります。
1度決定した認定を覆すことは非常に困難が予想されるため、きちんと納得のいく後遺障害等級認定を受けたい場合は、被害者の手続きは大変になりますが「被害者請求」の方がおすすめです。
可能であれば、弁護士に相談や代行依頼をすると安心です。
申請した結果、後遺障害には非該当となった場合も、何らかの慰謝料などを請求できる可能性がありますので、諦めずにまずは保険会社や弁護士に相談してみましょう。
交通事故で被害者になってしまったら。。。
保険会社から提示された慰謝料や過失割合、治療費などに納得いかないなら、和解する前に弁護士に相談するのがポイントです。
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相談は無料ですので、増額になりそうな場合だけ正式依頼すれば余計な費用もかかりません。
また、報酬は後払いなので賠償金を受け取ってから払うこともできます。
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