こんにちは、管理人です。交通事故による受傷のため、通常のように働くことができなくなった場合の補償として、「休業損害」があります。
様々な職業の人が“月給”として月単位で給与をもらっていますが、月給には大きく分けて「月給制(完全月給制)」と「日給月給制」の二つの種類があることをご存知でしょうか。
実際に多くの企業が日給月給制の賃金形態となっているのですが、日給月給制とはどのような賃金形態なのでしょうか。また、交通事故の被害者が日給月給で働いていた場合、休業損害はどうなるのでしょうか。
今回は、日給月給の休業損害について詳しく解説します。
目次
日給月給制とは
まず、日給月給制とはどのような賃金形態なのかについて、説明します。
ノーワークノーペイの原則に基づく賃金形態
東京ハローワークのホームページによると、賃金形態について下記の説明が掲載されています。
●月給制は、1ヶ月単位で算定される定額で支給されるものです。
●日給月給制は、1ヶ月の定額ですが、年休以外の欠勤分は差引かれます。
●日給制は、1日の定額で労働日数分が支給されます。
●時間給制は、1時間の定額で労働時間分が支給されます。
(引用元:東京ハローワーク 求人票の見方)
つまり「日給月給制」とは、“給与は1ヶ月単位の定額であるが、遅刻・早退・欠勤をすると給与から控除される”という、ノーワークノーペイの原則に基づいた賃金形態です。
賃金形態は就業規則で自由に定められる
完全月給制や月給日給制という賃金形態には、法的な定義やルールはありません。欠勤控除は不就労分を超える定めをしない限り、企業が就業規則で自由に定められるものです。
従って、日給月給制としていながらも、下記のように企業によって異なる運用となっていたり、日給制と混同されていたりする場合もあります。
・欠勤控除は基本給のみを対象とし、月単位で支払われる各種手当は控除対象外。
(「月給日給制」と呼ぶ場合もある)
・各種手当も含めたすべての給与が欠勤控除の対象。
・給与が1ヶ月単位ではなく、1日単位の日給を月1回まとめて支払う。
(日給制の月1回払い)
欠勤控除する際の計算方法も、例えば下記のように企業によって様々なやり方があります。
・基本給-(基本給÷その月の所定労働日数)×欠勤日数
・基本給-(基本給÷その年の1ヶ月平均所定労働日数)×欠勤日数
・基本給-(基本給÷その月の暦日数)×欠勤日数
・基本給-(月給÷30日)×欠勤日数 ※一律に日数を固定
遅刻・早退についても、下記のように様々なやり方があります。
・一定時間以上の遅刻・早退は一律半額控除する。
・遅刻・早退の時間に比例して控除する。
まずは、勤務先の就業規則で、欠勤・遅刻・早退などについてどのように定められているのかを確認することが大切です。
日給月給の休業損害算定方法
前述のとおり、企業によって日給月給がどのような賃金形態であるのか異なる場合があるため、今回は東京ハローワークの説明にある日給月給を前提に、休業損害の算定方法について説明します。
前提:日給月給制は1ヶ月の定額とし、年休以外の欠勤分は差し引かれる。
日給月給制の給与所得者における休業損害
被害者が日給月給制の給与所得者の場合、休業損害は原則、「事故前3ヶ月分の給与収入合計額」をもとに、下記の計算式で算出します。
また、事故による通院のために遅刻・早退して給与が控除されてしまった場合は、その分も休業損害として請求できますので、「休業損害証明書」に控除の計算式や金額をしっかり記入してもらいましょう。
なお、事故前3ヶ月分の給与収入合計額を証明するための書類として、「源泉徴収票」の提出も必要です。
就職して間もないなど、何らかの理由で勤務先から「源泉徴収票」がもらえない場合は、下記の書類により休業損害額の信憑性を証明する方法があります。
・所得証明書
・賃金台帳
・確定申告書控え など
日給月給制の給与所得者における休業日数
日給月給制の給与所得者における休業日数は、「休業損害証明書」に基づいた下記の日数を合計したものとなります。
・有給休暇を使用した日数
・欠勤した日数
有給休暇を使用した場合、実際には休業による減収はありませんが、自身が望まないタイミングで有給休暇を使わざるを得なかったという考えから、休業損害が請求できます。
また、連続した欠勤期間中の休日・祭日は休業日数に含まれますが、欠勤日が不連続の場合、欠勤日の間にある休日・祭日は休業日数に含まれないことに注意しましょう。
日給月給制の個人事業主の場合
建設業の職人など、使用者と業務委託契約を締結して日給月給制で報酬をもらっている場合は、給与所得者ではなく個人事業主としての休業損害となります。
この場合、一般的には前年分の「確定申告書」(控え)をもとに、下記の計算式で休業損害を算出します。
確定申告をしていなかった場合は、収入があったことを資料(「預金通帳」や「請求明細書」、「注文請書」など)で立証する方法があります。ただし、これらの資料をもとにした保険会社との交渉は難航する可能性が高く、自賠責保険基準の定額「5,700円」の休業損害しか認められない可能性もあります。
日給月給制の個人事業主における休業日数
日給月給制の個人事業主における休業日数は、原則として「実治療日数の範囲内」で認定されます。具体的に認められる範囲としては下記のとおりです。
・入院期間は休業日数として認められる。
・通院期間は、医者から必要だと認められている範囲で休業日数として認められる。
・自宅療養期間は、医師の指示がなければ、休業日数として認められない場合が多い。
ただし、傷害の態様、職種、交通事故時の契約内容、季節的要因等を勘案して、「治療期間の範囲内で実治療日数の2倍」を限度に認定可能となっています。
まとめ
今回は、日給月給の休業損害について解説しました。
日給月給制とは、“給与は1ヶ月単位の定額であるが、遅刻・早退・欠勤をすると給与から控除される”という、ノーワークノーペイの原則に基づいた賃金形態です。
賃金形態には法的な定義やルールがないため、企業が就業規則で自由に定められるものです。従って、日給月給制としていながらも、企業によって異なる運用となっている場合があります。
被害者が日給月給制の給与所得者の場合、休業損害は原則、「事故前3ヶ月分の給与収入合計額」をもとに、「事故前3ヶ月分の給与収入合計額 ÷ 90日 × 休業日数」で算出します。また、事故による通院のために遅刻・早退して給与が控除されてしまった場合も休業損害として請求できます
なお、事故前3ヶ月分の給与収入合計額を証明するための書類として、「源泉徴収票」の提出も必要です。
日給月給制の給与所得者における休業日数は、「休業損害証明書」に基づき、有給休暇を使用した日数と欠勤した日数の合計となります。
また、使用者と業務委託契約を締結して日給月給制で報酬をもらっている場合は、個人事業主としての休業損害となります。この場合、一般的には前年分の「確定申告書」(控え)をもとに、「(収入-原価-諸経費) ÷ 365日 × 休業日数」で休業損害を算出します。
日給月給制の個人事業主における休業日数は、原則として「実治療日数の範囲内」で認定されます。ただし、傷害の態様や季節的要因等を勘案して、「治療期間の範囲内で実治療日数の2倍」を限度に認定可能となっています。
日給月給制による欠勤控除方法は企業によって様々であり、給与所得者と個人事業主の区分が混在しています。まずは自分の区分と勤務先の就業規則を確認し、休業損害の請求に必要な書類をしっかりと準備することが大切です。
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