自動車保険のパッケージ商品の種類

自動車保険は自動車の運転中に交通事故を起こしてしまったり巻き込まれてしまったりした時にその損害を補償するための保険です。

どんなに注意していたとしても交通事故を完全に無くすことは残念ながら出来ません。そのため自動車を保有し、運転する際には最低限の補償範囲である自賠責保険の加入が義務付けられています。

自動車保険は交通事故の内容に応じて適用される保険が細分化されており、保険会社がその保険を組み合わせてパッケージを作り、保険商品として提供しています。

本稿では自動車保険のパッケージの種類を解説します。

事故の状況によって適用される自動車保険が決まる

事故の状況によって適用される保険が決まる
交通事故の損害と一口に言ってもその内容は様々です。例えばドライバー自身や同乗者の怪我の損害、車の損傷の損害、こちらの過失によって相手を怪我させてしまった賠償を含む損害。

自動車保険に加入していれば単純にその損害の金額が保険金として下りる、というほど単純な話ではありません。

自動車保険は事故の状況によって大きく3種類に大別されており、さらに7つに細分化されます。

その7つの保険のうち、加入が必須である自賠責保険の補償はおよそ半分以下の範囲です。

幅広い補償範囲をカバーするためには別途、任意保険に加入する必要があります。

自動車保有者の多くは、万一の備えとして自賠責に保険に加えて任意保険に加入します。

ここからは保険の種類を簡単に解説します。

こちらの過失で相手に損害を与えた時に適用される『賠償責任保険』

交通事故で、こちらの過失で相手に損害を与えてしまった時には相手側の損害を慰謝料も含めて『賠償』する賠償責任が生じます。
この賠償金を補償されるのが賠償責任保険です。

賠償責任保険は『対人賠償保険』と『対物賠償保険』の2つに細分化されます。
それぞれの内容は文字通りで、相手側の怪我や死亡に適用されるのが対人賠償保険、相手側の車の損傷に適用されるのが対物賠償保険です。
車内にあった貴重品の補償も対物賠償保険の範疇です。

特に対人賠償は死亡事故では億単位の賠償金が発生することもあります。
補償額が非常に大きくなる可能性があるため自動車保険でも最重要項目の保険といえます。

自身の怪我の治療費を補償する『傷害保険』

交通事故の当事者となってしまった時、それは自分に過失がある事故の場合やそうでない場合でも怪我を負ってしまう可能性はあります。
もしどのような状況にせよ、交通事故で怪我を負ってしまったら適用されるのが『傷害保険』です。

傷害保険には『搭乗者傷害保険』、『人身傷害保障保険』、『自損事故保険』、『無保険車傷害保険』の4つに細分化されます。
いずれも過失割合は考慮せず、自身や同乗者が怪我を負った時にその治療費が補償されるのが傷害保険です。

自身の車の修理代を補償する『車両保険』

自身の自動車が事故で損傷した時にその修理代が補償されるのが車両保険です。
事故といっても車と車がぶつかるような事故でなく、車庫入れで失敗して傷をつけてしまったり、電柱や壁にぶつかったりしてできた傷のような『自損事故』でも補償の対象となります(ぶつけてしまった壁や電柱は弁償の対象となる場合があり、そちらは対物賠償保険の領分です。)

車両保険はこれ以上細分化されず1つです。

3つに大別され、7つに細分化される自動車保険

3つに大別され、7つに細分化される自動車保険
ここまで解説したように自動車保険は『賠償責任保険』、『傷害保険』、『車両保険』の3つに大別され、さらに賠償責任保険は2つに細分化、傷害保険は4つに細分化、車両保険は1つ、計7つの保険に自動車保険は分けられます。

大グループ 補償の概要 保険内容
賠償責任保険 事故相手が負った損害 対人賠償保険
対物賠償保険
傷害保険 自身と同乗者の治療費 搭乗者傷害保険
人身傷害保障保険
自損事故保険
無保険車傷害保険
車両保険 自身の車の修理代 車両保険

保険会社はこの7つを組み合わせてパッケージを作り、保険商品として販売します。ここからは自動車保険のパッケージについて解説します。

もっとも充実した補償内容のSAP

自動車保険商品のなかでももっとも補償が充実しているのが『自家用自動車総合保険』通称、SAP(スペシャル オートモービル ポリシー )です。

上記のSAPで紹介した7つの保険のうち、『人身傷害保障保険』以外の6つが全てカバーされています。人身傷害保障保険に加入するかは任意です。
もし加入すればまさに完璧な補償内容のパッケージです。

補償範囲が広い分、もちろん保険料も高めとなっています。
保険金の上限など、それぞれの保険内容の詳細はある程度任意で選択が可能なため、SAPの中でも割安なプランにすることは可能です。

もっともポピュラーで人気の高いPAP

もっともバランスが良くポピュラーな存在と言えるのが『自動車総合保険』、通称PAP(パッケージ オートモービル ポリシー)です。
PAPは7つの保険のうち、人身傷害保障保険と、車両保険、以外の5つの保険がパッケージされています。
人身傷害保障保険と車両保険は任意で加入となります。

上記のSAPでもこちらのPAPでも、加入が任意となる『人身傷害保障保険』とは、保険に加入している車を運転中に怪我をした時にその治療費が補償される保険です。保険に加入している車なら契約している被保険者である必要はありません。
例えば友人に車を貸してその友人が運転中に事故で怪我をしても人身傷害保障保険は適用されます。
被保険者とその家族なら別の車を運転中での事故でも適用されます。
このように人身傷害保障保険は万一の事故での自分や身内の怪我に対する保険です。

上記のSAPでも人身傷害補償保険が任意加入なのは、
事故で他人を怪我させてしまったら大変だから保険が必要だけど、自分や身内が怪我した時は自腹でなんとかすればいい、と考える人が多いためと思われます。

PAPはSAPと比べて車両保険も任意です。
これも上記と同じような理由で自分の車の修理は自腹で払い、その分安い保険料が魅力、と考える人に最適のパッケージと言えます。

自分の好きな保険を選ぶBAP

ここまで紹介したSAPやBAPは保険内容が決められているセット商品だったのに対して『一般自動車保険』、通称BAP(ベーシック オートモービル ポリシー)は自分で保険を選べるバラ売りタイプです。

ただし『対人賠償保険』だけは必須となり、あとは任意で選べます。
そして傷害保険である『搭乗者傷害保険』と『無保険車傷害保険』は選べないようになっているためこのどちらかにどうしても加入したい場合はそれぞれを個別で契約するしかありません。

選べるのは任意、といっても多くの場合は補償が重要になってくる『対物賠償保険』を選び、『賠償責任保険』を磐石にします。
このようにBAPは自動車保険の中でも重要になってくる『賠償責任保険』のみを重要視し、あとは保険料節約のためにほどほどにする、という人に最適なパッケージです。

他人の車を運転する場合に最適なドライバー保険

最後に紹介となる『ドライバー保険』はもっとも保障内容は薄く、その分保険料も最安であり、他人の車を時々運転する場合やたまにレンタカーを運転する人に最適な自動車保険です。

保障内容は、対物賠償保険、対人賠償保険、自損事故保険、そして任意で人身傷害保障保険、といったラインナップです。

例えば友人の車を借りて運転中に事故を起こしてしまった場合、事故の相手に怪我をさせてしまったり車を損傷させてしまったりした場合、『賠償責任保険』があるため安心です。

そして、自損事故で車を損傷させてしまってもその修理費は『自損事故保険』によって保障されます。
自分や同乗者が怪我をした場合の治療費が対象となる『人身傷害保障保険』は任意加入です。

友人の車も任意保険、少なくとも自賠責保険には加入しているでしょうが、自分がドライバー保険に加入している場合はドライバー保険が優先して適用されます。
友人の自動車保険が適用されないために等級を下げずに済みます。

等級とは保険が適用されるたびに下がるランクのようなもので、等級が下がると契約更新時に保険料が上がってしまいます。
ちなみに保険が適用されずに契約更新すると一定の基準で等級は上がり、保険料も安くなります。

ドライバー保険は免許を取得している人ならだれでも加入できます。
そのため自分は車を保有していないけれど、他人の車やレンタカーに乗る機会が多い人は加入しておくと相手に迷惑をかけずに済みます。

まとめ・現在は自由化が進み、更に細分化が進んでいる

まとめ・現在は自由化が進み、更に細分化が進んでいる
本稿で紹介した4つのパッケージは自動車保険における定番のパッケージです。

現在、自動車保険はかなり自由化されています。
そのためBAPのように自分の好きなようにメニューを選び、なおかつ自動車保険におけるオプションとも言える『特約』を自由に付けて、自分だけの自動車保険プランを選べるようなスタイルが主流となりつつあります。

今回紹介した4つのパッケージは大まかな目的に応じているバランスの良い構成であるといえます。
特に大きなこだわりがなければこの4つから最も自分に合ったものを選び、必要に応じて保険会社のスタッフとよく相談し、ある程度時間をかけて自分にベストな保険プランを練り上げると良いでしょう。

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