こんにちは、管理人です。
自動車やバイク等で交通違反をしたり交通事故を起こしたりすると、その違反・事故内容により一定の点数が付けられ、その点数に応じて免許の停止や取消等の行政処分が行われる「点数制度」のことは、免許取得者であればご存じかと思います。
しかしながら、点数制度自体は知っていても、この制度が“累積方式”であるということは、実はよく知らない方もいるのではないでしょうか。
例えば「スピード違反で2点減点された」といったように、15点満点からの減点方式で免許停止になると誤解している方もいるのではないでしょうか。
今回は、ちょっとわかりにくい交通事故の点数制度と、累積点数の計算方法や累積点数に応じた行政処分内容などについて、詳しく解説します。
目次
交通事故の点数制度とは
交通事故の点数制度は、アメリカやカナダ、ドイツなどの諸外国でも採用されており、日本では昭和44年10月から施行されている制度です。
点数制度の定義
警視庁ホームページによると、交通事故の点数制度とは下記のとおりに定義されています。
点数制度とは、自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて、その過去3年間の累積点数等に応じて免許の停止や取消等の処分を行う制度です。
点数制度の主な内容は、
1 一般違反行為(信号無視・放置駐車違反等)に付けられている基礎点数
2 特定違反行為(酒酔い運転・ひき逃げ等)に付けられている基礎点数
3 交通事故を起こした場合の付加点数
4 あて逃げ事故の場合の付加点数
からなっています。
(引用元:警視庁ホームページ「点数制度」)
つまり、交通違反やひき逃げなどに付ける「基礎点数」と、交通事故やあて逃げ事故を起こした時にプラスする「付加点数」の累積により、その交通違反等の点数が決まります。
さらに、最後の交通違反等の日を起算日とした“過去3年間の累積”により、累積点数が算出されるということになります。
点数制度の目的
点数制度は、下記の2つのことを目的とした制度です。
・危険性の高い運転者を排除して事故を未然に防ぎ、安全な道路交通環境を確保する。
・運転者が無事故・無違反で安全な運転を行うよう奨励する。
交通違反の基礎点数
交通違反行為(一般違反行為、特定違反行為)の種別ごとの基礎点数は、「道路交通法施行令 別表第二」により、下記のとおり定められています。
一般違反行為に対する基礎点数一覧
一般違反行為の種別(注) | 点数 |
---|---|
無免許運転、酒気帯び運転(0.25以上)、過労運転等又は共同危険行為等禁止違反 | 25点 |
酒気帯び(0.25未満)速度超過(50以上)等 | 19点 |
酒気帯び(0.25未満)速度超過(30(高速40)以上50未満)等 | 16点 |
酒気帯び(0.25未満)速度超過(25以上30(高速40)未満)等 | 15点 |
酒気帯び(0.25未満)速度超過(25未満)等 | 14点 |
酒気帯び運転(0.25未満) | 13点 |
大型自動車等無資格運転、仮免許運転違反又は速度超過(50以上) | 12点 |
速度超過(30(高速40)以上50未満)、積載物重量制限超過(大型等十割以上)、無車検運行又は無保険運行 | 6点 |
速度超過(25以上30(高速40)未満)、放置駐車違反(駐停車禁止場所等)、積載物重量制限超過(大型等五割以上十割未満)、積載物重量制限超過(普通等十割以上)又は保管場所法違反(道路使用) | 3点 |
信号無視、通行禁止違反、速度超過(20以上25未満)、追越し違反、横断歩行者等妨害等、徐行場所違反、指定場所一時不停止等、放置駐車違反(駐車禁止場所等)、携帯電話使用等(交通の危険)、消音器不備、番号標表示義務違反又は保管場所法違反(長時間駐車) 等 | 2点 |
通行帯違反、速度超過(20未満)、車間距離不保持、進路変更禁止違反、駐停車違反(駐車禁止場所等)、無灯火、定員外乗車、積載物大きさ制限超過、携帯電話使用等(保持)、座席ベルト装着義務違反、幼児用補助装置使用義務違反、初心運転者標識表示義務違反 等 | 1点 |
通行帯違反、速度超過(20未満)、車間距離不保持、進路変更禁止違反、駐停車違反(駐車禁止場所等)、無灯火、定員外乗車、積載物大きさ制限超過、携帯電話使用等(保持)、座席ベルト装着義務違反、幼児用補助装置使用義務違反、初心運転者標識表示義務違反 等 |
(注)一般違反行為の種別については、一部省略して記載してあります。
特定違反行為に付する基礎点数
特定違反行為の種別 | 点数 |
---|---|
運転殺人等又は危険運転致死等 | 62点 |
運転傷害等(治療期間3月以上又は後遺障害)又は危険運転致傷等(治療期間3月以上又は後遺障害) | 55点 |
運転傷害等(治療期間30日以上)又は危険運転致傷等(治療期間30日以上) | 51点 |
運転傷害等(治療期間15日以上)又は危険運転致傷等(治療期間15日以上) | 48点 |
運転傷害等(治療期間15日未満又は建造物損壊)又は危険運転致傷等(治療期間15日未満) | 45点 |
酒酔い運転、麻薬等運転又は救護義務違反 | 35点 |
なお、平成21年6月1日の道路交通法施行令改正により、飲酒運転関連の罰則が大幅に強化されて改正以前よりも重い基礎点数が課されることとなっており、行政処分の内容も厳しくなっています。
交通事故の付加点数
交通事故を起こした時にプラスされる「付加点数」も、「道路交通法施行令 別表第二」により、下記のとおり定められています。
交通事故の種別 | 交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合における点数 | 中欄に規定する場合以外の場合における点数 |
---|---|---|
人の死亡に係る交通事故 | 20点 | 13点 |
傷害事故のうち、当該傷害事故に係る最も重い負傷者の負傷の治療期間が3月以上であるもの又は後遺障害が存するもの | 13点 | 9点 |
傷害事故のうち、治療期間が30日以上3月未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。) | 9点 | 6点 |
傷害事故のうち、治療期間が15日以上30日未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。) | 6点 | 4点 |
傷害事故のうち治療期間が15日未満であるもの(後遺障害が存するものを除く。)又は建造物の損壊に係る交通事故 | 3点 | 2点 |
つまり、交通事故の被害者(建物)の程度と、事故を起こした運転者の責任の程度に応じた点数が、付加点数として累積点数にプラスされることとなります。
また、物損事故における危険防止等措置義務違反、いわゆる「あて逃げ」をした場合は、付加点数“5点”が、累積点数にプラスされることとなります。
累積点数の計算方法
それでは、“過去3年間の累積点数”の具体的な計算方法について説明します。点数計算には、「原則」と「例外(優遇措置)」のルールがあります。
点数計算の原則
前述「1-1 点数制度の定義」のとおり、原則は「最後の交通違反等の日を起算日とした“過去3年間の累積”により、累積点数を算出する」となっています。
例えば下記A~Eの違反をしていた場合、最後の交通違反等の日はEとなり、Eを起算日とした過去3年間の累積ということは、B~Eの違反が累積対象、Aの違反は累積対象外となることから、E時点の累積点数=B+C+D+Eとなります。
点数計算の例外(優遇措置)
点数計算の例外として、無事故・無違反の人に対する優遇措置があります。
優遇措置①:1年以上無事故・無違反・無処分の人
免許の停止期間や失効期間を除く運転可能な期間において、前の違反と後の違反まで1年間以上無事故・無違反・無処分である場合に限り、前の違反までの点数は累積しません。
例えば下記A~Dの違反をした場合、原則では最後の交通違反等の日Dを起算日とした過去3年間の違反が累積される、つまりA~Dの違反が累積の対象となるはずですが、B~Cまでの期間が1年以上あるため、1年間無事故・無違反の優遇措置として、B以前、つまりAとBの違反は累積の対象外となり、D時点の累積点数=C+Dとなります。
優遇措置②:2年間無事故・無違反・無処分の人
過去に2年間以上無事故・無違反・無処分だった人が、軽微な交通違反(1点、2点、3点の違反行為)をし、且つ、その違反後3か月以上無事故・無違反だった場合、その軽微な交通違反までの点数は累積されません。
例えば下記A~Cの違反(但し、Bは軽微な違反)をした場合、原則では最後の交通違反等の日Cを起算日とした過去3年間の違反が累積されます。
つまりA~Cの違反が累積の対象となるはずですが、A~軽微な違反Bまでの期間が2年以上あり、且つ、軽微な違反B~Cまで3か月以上あるため、2年間無事故・無違反・無処分の優遇措置として、軽微な違反B以前、つまりAとBの違反は累積の対象外となり、C単独の点数として計算されます。
ただし、これらの優遇措置①②に該当して累積点数に合算されない場合であっても、違反した点数そのものは消えるのではなく、運転記録の違反歴として残っています。
累積点数や運転記録の確認方法
自分の現在の累積点数や、過去の運転記録については、「自動車運転安全センター」に下記の証明書発行を申請すれば知ることができます。
・累積点数等証明書
:交通違反や交通事故の点数が、現在何点になっているかを証明
(引用元:自動車運転安全センター「累積点数証明書」見本)
・運転記録証明書
:過去(5年・3年・1年)の交通違反、交通事故、行政処分の記録について証明
(引用元:自動車運転安全センター「運転記録証明書」見本)
各証明書の申込用紙は、警察署、交番、駐在所、および各センター事務所で入手できます。必要事項を記入し、交付手数料(1通につき630円)を添えて、センター事務所の窓口または郵便局・ゆうちょ銀行から申し込みができます。
点数制度における行政処分とは
過去3年間の累積点数が一定の「行政処分基準点数」に達した場合、運転免許の停止や取消等の行政処分が行われます。
行政処分の前歴回数で処分が異なる
「行政処分基準点数」は“過去3年間の行政処分前歴の回数”により、「0回」「1回」「2回」「3回」「4回以上」の5つに区分されています。
そして、行政処分前歴が多いほど、より厳しい行政処分が行われることとなります。
行政処分基準点数
行政処分基準点数は、「道路交通法施行令 第三十八条」および「別表第三」により定められており、警視庁ホームページに分かりやすい一覧表が掲載されています。
点数/前歴 | 0回 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回以上 |
---|---|---|---|---|---|
1 | |||||
2 | 停止90日 | 停止120日 | 停止150日 | ||
3 | 停止120日 | 停止150日 | 停止180日 | ||
4 | 停止60日 | 停止150日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | |
5 | 停止60日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | |
6 | 停止30日 | 停止90日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
7 | 停止30日 | 停止90日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
8 | 停止30日 | 停止120日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
9 | 停止60日 | 停止120日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) |
10-11 | 停止60日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) |
12-14 | 停止90日 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) |
15-19 | 取消1年(3年) | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) |
20-24 | 取消1年(3年) | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) | 取消3年(5年) | 取消3年(5年) |
25-29 | 取消2年(4年) | 取消2年(4年) | 取消3年(5年) | 取消4年(5年) | 取消4年(5年) |
30-34 | 取消2年(4年) | 取消3年(5年) | 取消4年(5年) | 取消5年 | 取消5年 |
35-39 35-39(注記1) |
取消3年(5年) 取消3年(5年) |
取消4年(5年) 取消4年(6年) |
取消5年 取消5年(7年) |
取消5年 取消6年(8年) |
取消5年 取消6年(8年) |
40-44 40-44(注記1) |
取消4年(5年) 取消4年(6年) |
取消5年 取消5年(7年) |
取消5年 取消6年(8年) |
取消5年 取消7年(9年) |
取消5年 取消7年(9年) |
45以上 45-49(注記1) |
取消5年 取消5年(7年) |
取消5年 取消6年(8年) |
取消5年 取消7年(9年) |
取消5年 取消8年(10年) |
取消5年 取消8年(10年) |
50-54(注記1) | 取消6年(8年) | 取消7年(9年) | 取消8年(10年) | 取消9年(10年) | 取消9年(10年) |
55-59(注記1) | 取消7年(9年) | 取消8年(10年) | 取消9年(10年) | 取消10年 | 取消10年 |
60-64(注記1) | 取消8年(10年) | 取消9年(10年) | 取消10年 | 取消10年 | 取消10年 |
65-69(注記1) | 取消9年(10年) | 取消10年 | 取消10年 | 取消10年 | 取消10年 |
70以上(注記1) | 取消10年 | 取消10年 | 取消10年 | 取消10年 | 取消10年 |
(注記1)赤字については特定違反行為(※)の欠格期間を表します。
(注記2)( )内の年数は、免許取消歴等保有者が一定期間内に再び免許の拒否・取消し又は、6月を超える運転禁止処分を受けた場合の年数を表します。
(引用元:警視庁ホームページ「行政処分基準点数」)
例えば、行政処分の前歴と免許停止までの点数を見てみると、
・前歴が0回の場合
→ 累積点数6点で免許停止30日
・前歴が1回の場合
→ 累積点数4点で免許停止60日
・前歴が2回の場合
→ 累積点数2点で免許停止90日
といったように、行政処分の前歴が多いほど低い点数で行政処分が行われることとなり、処分の内容も厳しくなってきます。
まとめ
今回は、交通事故の点数制度と、累積点数の計算方法や累積点数に応じた行政処分内容などについて解説しました。
点数制度とは、自動車等の運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて、その過去3年間の“累積点数”等に応じて免許の停止や取消等の行政処分を行う制度です。
その内容は、一般違反行為や特定違反行為に付けられている「基礎点数」に、交通事故やあて逃げの「付加点数」をプラスしたものとなります。
累積点数計算の原則は、「最後の交通違反等の日を起算日とした“過去3年間の累積”により、累積点数を算出する」となりますが、点数計算の例外として、1年以上もしくは2年以上無事故・無違反の人に対する2つの優遇措置があります。
自分の現在の累積点数や、過去の運転記録については、自動車運転安全センターに「累積点数等証明書」や「運転記録証明書」の証明書発行を申請すれば知ることができます。
過去3年間の累積点数が一定の「行政処分基準点数」に達した場合、運転免許の停止や取消等の行政処分が行われます。
「行政処分基準点数」は“過去3年間の行政処分前歴の回数”により5つに区分されており、行政処分前歴が多いほど、より厳しい行政処分が行われることとなります。
違反等を積み重ねて行政処分となってしまうと、“前歴あり”としてより厳しい状況となってしまいますが、仮に違反等をしてしまった場合でも、1年以上もしくは2年以上無事故・無違反で過ごせれば点数制度の優遇措置を受けて累積点数を減らすことができます。
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