こんにちは、管理人です。
自動車運転中に起きてしまう事故、いわゆる交通事故の当事者となってしまった時にその損害を補償してくれるのが自動車保険です。
日本の交通法規では、自動車を保有する際には最低限の自動車保険の加入が義務付けられています。しかし、最低限の保険である自賠責保険だけでは補償の範囲が狭く、多くのドライバーは自賠責保険に加えて任意保険にも加入します。
任意保険と自賠責保険の差は、自身や同乗者の怪我の治療費を補償してくれる『傷害保険』が存在する点です。万一の事故を考えるなら、任意保険の中でも傷害保険が充実したプランを選ぶほうがより安心です。
本稿では自動車保険で自身の怪我を補償する傷害保険、そしてそのうちの一つである『無保険車傷害保険』について解説します。
任意保険の種類 | 保険の名前 |
---|---|
賠償責任保険 | 対人補償保険 |
対物賠償保険 | |
傷害保険 | 搭乗者傷害保険 |
自損事故保険 | |
無保険車傷害保険← これ | |
人身傷害補償保険 | |
車両保険 | 車両保険 |
目次
事故内容によって適用される自動車保険が細分化
自動車保険は交通事故の際にその損害を補償するための保険です。しかし交通事故の損害と一口に言っても、それがどういった損害か?によって適用される自動車保険の種類は違ってきます。
ケガの場合は、自身や自分の自動車の同乗者が怪我をした場合は『傷害保険』が対象となり、自身の車の損害は『車両保険』になります。
他人の車にぶつけてしまったり他人にケガをさせてしまったりして、その過失がこちらにある場合はその損害を賠償する責任が生じます。このような賠償金を補償するのが『賠償責任保険』です。
相手側の損害は怪我でも車の損傷でも賠償責任保険で補償されます。
このように自動車保険は事故の損害内容によって適用される保険が細分化されます。
4種類の傷害保険
交通事故の当事者となり、自身や自分の車の同乗者が怪我をしてしまった場合は自動車保険の中の傷害保険の適用範囲となります。
■障害保険の種類と適用範囲 | |
---|---|
搭乗者傷害保険 | 自身と全ての同乗者に適用される |
自損事故保険 | 自損事故で負った怪我に適用される |
人身傷害補償保険 | 過失割合に関係なく治療費が全額補償される |
無保険車障害保険 | 相手からの賠償金の支払い見込みが難しい場合に適用される |
本稿では、無保険車傷害保険について、後に詳しく解説していきます。
4種類の傷害保険は適用内容が重複することも
自動車保険における傷害保険は上記の4つの保険から構成されています。
さっと読んでみると、保険の適用範囲が重複している部分があることに気付くと思います。
例えば自損事故保険と人身傷害補償保険を見比べてみましょう。
人身障害補償保険 | 過失割合に関わらず治療費が全額補償 |
---|---|
自損事故保険 | 自損事故で生じた怪我を補償 |
仮に2つの保険に同時に加入している状態で、自損事故を起こし怪我をした際は両方の保険が適用され、保険金は重複して受け取れます。
このように4つの傷害保険は、それぞれに特徴はありますが、補償範囲が重なる部分もあり、同時に加入していれば重複して保険金が下りるケースもあります。
傷害保険は任意で加入する任意保険のため、この辺りの取捨選択は予算を考慮し、保険会社のスタッフとよく相談して検討すると良いでしょう。
傷害保険の中でも少し特殊な『無保険車傷害保険』
4つある傷害保険の中でも補償範囲が広く、とりあえず加入しておくべき、というメインの位置付けになるのが『人身傷害補償保険』や『搭乗者傷害保険』です。
特殊な補償内容のため、『無保険車傷害保険』はサブ的な位置づけとされています。
この保険が適用されるための前提として、自身が交通事故の当事者となり、自身が重症の怪我を負う、もしくは死亡してしまう、といった極めて深刻なケースの場合です。
このような場合で、相手側の過失が大きい場合は必然的に高額な治療費や死亡による対人賠償の請求権が発生します。重症の場合で少なくとも数千万円、死亡の場合は億単位の賠償となるケースも珍しくはありません。
対人賠償を自腹で支払うのは現実的には困難
多く場合、多額の賠償額を自腹で支払うことは不可能であり、対人賠償保険を頼ることになります。
参考までに、自賠責保険の対人賠償は死亡時に3000万円、重大な後遺症が残るような怪我を負わせてしまった場合は最高で4000万円です。
しかし、人によっては任意保険に加入していないケースがあります。このような時に、無保険車傷害保険が適用される可能性があります。
こちらの過失で相手側に死亡者が出てしまった場合、賠償額は億単位を超えることが想定され、重傷を負わせてしまった場合も数千万円規模の賠償金となることが予想されます。
非常に高額になる理由は、こちらの過失によって相手側に重大な損害を与えてしまった慰謝料も加味されるからです。
深刻なケースに備えておきたい『無保険車傷害保険』
もし、自分がこのような最悪なケースの交通事故の被害者となってしまった場合、つまり加害者である相手が自賠責保険にしか加入していなかったことを想像してみてください。
数千万~数億円の賠償請求権があったとしても相手は物理的に支払うことが不可能です。
相手側は残された数少ない選択肢として自己破産をするかもしれません。もしそうなればもう相手側は賠償金の支払い義務が無くなります。
このような大きな被害を被ったにもかかわらず、賠償金の全額受け取りが難しい場合に適用されるのが無保険車傷害保険です。
適用された場合、賠償金の不足分が全額補償されます。
無保険車傷害保険が適用される、相手側の条件とは?
無保険車傷害保険は、相手が自賠責保険のみ加入の場合に適用、と解説しましたが、厳密には以下のような条件に当てはまれば適用されます。
まず相手側が任意保険の対人賠償保険に加入していない場合です。
相手が対人賠償保険に加入していても、年齢条件の規定などに引っかかるなどで、例外的に保険が適用されない場合も無保険車傷害保険が適用されるケースがあります。
当て逃げやひき逃げで相手が特定できないような事故で重傷や死亡を負った場合、無保険車傷害保険が適用されます。
最期に、相手は任意保険の賠償責任保険に加入はしていたけれど、その保険で下りる保険金が賠償額に満たなかった場合はその不足分は無保険車傷害保険が適用され、補填されます。
無保険車傷害保険が適用される、こちら側の被害条件
無保険車傷害保険の適用条件は、こちらが重症の被害や死亡した時など、極めて深刻な被害を負った場合、と解説してきました。
では具体的に無保険車傷害保険が適用される被害の範囲とはどの程度か?
定義としては、後遺症が残るくらいの大きな怪我、もしくは死亡した場合、となっています。つまり、通院や入院で完治する怪我では適用されません。
これは、その程度の怪我の規模であれば自賠責保険の対人賠償でも事足りる場合が多く、相手側が任意保険未加入であったための最悪のケース、という無保険車傷害保険の本来の意義から外れるから、という意味合いが大きいと思われます。
まとめ・無保険車傷害保険は万一の備え
交通事故に巻き込まれ、後遺症が残るような重傷を負った時や死亡してしまった時、本来なら高額な賠償請求権が発生します。
しかしもしも相手が任意保険の対人賠償保険に未加入であり、賠償金の支払い能力が無かったら、最悪の場合、賠償金の受け取りが出来ないこともあります。
そのようなケースで適用されて本来受け取れる賠償金の不足分が補償されるのが無保険車傷害保険です。
適用のカバー範囲が狭いため、もしもの時の備えという意味合いが強い保険であり、あくまでサブ的な位置づけの傷害保険といえます。
自動車を保有する人の1~2割は任意保険未加入であるという統計があり、これを単純に考えると、交通事故の10回に1度は任意保険未加入の人と関わる可能性があるということにもなります。
本来は払うべき賠償金が払えないということはあってはならないことですが、現在の日本において任意保険未加入者の割合は1割を超えています。
これが現実である以上、無保険車傷害保険も検討の余地はありそうです。
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