交通事故で都合の良い嘘がばれた場合は?

こんにちは、管理人です。

交通事故では“当事者双方の証言が食い違う”ということは珍しいことではありません。

例えば、交差点での事故で、当事者双方が「自分の信号は青だった」と証言したり、走行中に車線変更してきた車との衝突事故で、ウィンカーが出ていたかどうかの証言がお互いに食い違ったりすることがあります。

このように証言が食い違う背景としては、複雑な形の交差点で自分が見るべき信号を間違えていたなどの“勘違い・誤認”のほか、当事者の一方が“自分に都合の良い嘘をついている”ということが考えられます。

それでは、仮に加害者が自分の都合の良い嘘をついていたとして、それがドライブレコーダーの映像や目撃者の証言などにより嘘だとばれてしまった場合、どのような状況になると思いますか?

今回は、交通事故で都合の良い嘘がばれた場合について、解説します。

嘘の証言は罪になる?

嘘の証言は罪になる?

交通事故で相手が嘘の証言をして、それが客観的な証拠などにより嘘だと判明した場合、嘘をつかれた当事者としては「相手は嘘をついたのだから、何らかのペナルティを与えるべきだ!何らかの嘘をついた罪に問えるのではないのか?」という憤りの気持ちが当然沸いてくるでしょう。

交通事故で当事者本人が嘘の証言をした場合、“嘘をついてごまかそうとした罪”として、例えば「偽証罪」や「虚偽告訴罪」、「詐欺罪」などに該当するのではないかと考える人がいますが、当事者本人が事故状況について嘘の証言をしたこと自体で、これらのような刑事罰に問われることはありません。まずはその理由を解説します。

偽証罪とは

偽証罪については、刑法169条に下記のように記載されています。

・法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3か月以上10年以下の懲役に処する。

あくまで偽証罪の対象となる人物は「法律による宣誓をした証人」、つまり、「刑事裁判や民事裁判で証言を求められた証人」のみとなります。

従って、交通事故の当事者本人が嘘の証言をしたからと言って、偽証罪に問われることはありません。

虚偽告訴罪とは

虚偽告訴罪については、刑法172条に下記のように記載されています。

・人に刑事または懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3か月以上10年以下の懲役に処する。

つまり、相手に刑事罰を受けさせる目的で、ありもしない犯罪事実をでっち上げたということでないと、虚偽告訴罪は成立しません。

従って、交通事故の当事者が事故状況について「自分の信号は青だった」といったような都合の良い嘘をついたとしても、事故自体は事実として起こっているため、虚偽告訴罪に問われることはありません。

詐欺罪とは

詐欺罪については、刑法246条に下記のように記載されています。

・人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
・前項の方法により、財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

つまり、詐欺罪として犯罪が成立するのは、人を騙すことによって、騙された人が、お金などの財産を提供してしまった場合となります。

従って、相手が嘘の証言をしたとしても、その嘘に騙されて財産を取られたという関係が存在しなければ、詐欺罪に問われることはありません。

なお、交通事故で嘘の通院履歴などをでっち上げて保険金を不当に多く受領した場合は「保険金詐欺」に該当しますので、嘘が立証されて保険会社に訴えられると詐欺罪の罪に問われることとなります。

都合の良い嘘がばれた場合の影響

都合の良い嘘がばれた場合の影響

前述のとおり、“嘘の証言をした”ということ自体は刑事上の罪にはなりませんが、客観的な証拠などから嘘をついたことが立証された場合、当然のことながら交通事故の刑事責任や民事責任における影響はあります。

交通事故の刑事責任とは

加害者の過失により人を傷つける・死亡させるといった人身事故の場合、下記のような刑事責任(懲役刑・罰金刑など)に問われることとなります。

刑事責任 罰則
刑法 自動車運転過失致死傷罪 7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金
危険運転致死傷罪 負傷:15年以下の懲役、
死亡:1年以上の有期懲役(最高20年)
殺人罪 死刑または無期もしくは5年以上の懲役
道路交通法 救護処置義務違反 5年以下の懲役または50万円以下の罰金
ひき逃げ 10年以下の懲役または100万円以下の罰金
無免許運転 1年以下の懲役または30万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金

なお、物損のみの事故の場合は刑法上の過失に問われることはなく、道路交通法の違反についてのみ問われることになります。

嘘がばれたことによる刑事責任への影響

人身事故を起こした加害者を起訴して裁判にかけるかどうかの判断は、検察の検事が行いますが、加害者がよほど悪質だったり、被害者の状況が悪かったりしない限りは、略式手続きの罰金刑になることがほとんどです。

さらに検察は、被害者感情について一定の配慮をする傾向にあるため、被害者が「加害者の罪を軽減させてほしい」と申し出れば、刑事処分に課せられないこともあります。

従って、仮に加害者が都合の良い嘘をついてしまったことで被害者の感情を逆なでしてしまい、被害者が怒って検察に「厳罰を望みます」と申し出れば、起訴される可能性が高くなると考えられます。

交通事故の民事責任とは

交通事故の民事責任とは、加害者が交通事故により被害者に与えた損害を賠償しなくてはならないという、民法や自動車損害賠償保障法に基づいて発生する責任のことです。

被害者に賠償しなくてはならない損害としては、下記の費用などがあります。

  • 修理費
  • 治療費
  • 通院交通費
  • 後遺傷害による損害、逸失利益、慰謝料
  • 被害者が事故に遭ったことで得られなくなった収入(休業損害)
  • 事故による精神的苦痛に対する慰謝料

嘘がばれたことによる民事責任への影響

仮に加害者が都合の良い嘘をついた場合、被害者は嘘を暴くための証拠を用意する手間や時間がかかるほか、嘘をつかれたことにより精神的な苦痛も大きくなります。

従って、民事裁判において、「加害者が都合の良い嘘をついた」ということに対し、嘘をつかれた被害者は慰謝料の増額を主張することが可能だと考えられます。

まとめ

まとめ

交通事故で自分の都合の良い嘘がばれた場合、当事者本人が事故状況について嘘の証言をしたこと自体について、「偽証罪」や「虚偽告訴罪」、「詐欺罪」などといった刑事罰に問われることはありません。

しかしながら、客観的な証拠などから“嘘をついた”ということが立証された場合、刑事責任や民事責任における影響はあります。

刑事責任への影響としては、仮に加害者が都合の良い嘘をついてしまったことで被害者の感情を逆なでしてしまい、被害者が検察に「厳罰を望みます」と申し出れば、検察は被害者感情について一定の配慮をする傾向にあるため、起訴される可能性が高くなると考えられます。

民事責任への影響としては、加害者が都合の良い嘘をついたことで被害者はその嘘を暴くための手間や時間がかかるほか、嘘をつかれたことによる精神的苦痛も大きくなるため、民事裁判において、加害者が都合の良い嘘をついたことに対する慰謝料の増額を主張できると考えられます。

交通事故においては、嘘の証言を嘘だと立証することは難しいと言われていますが、防犯カメラやドライブレコーダーの「動画」や、現場のブレーキ痕などの物的証拠、目撃者の証言などがあれば、嘘を立証することは不可能ではありません。

嘘の証言で罪を軽くしようとしたり、責任を相手になすりつけようとしたりすると、嘘がばれた場合は起訴される可能性が高くなったり、支払う慰謝料が増額したりしますので、加害者も被害者も事故状況については冷静に事実を証言するようにしましょう。

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