労災における交通事故の後遺障害の扱いについて

こんにちは、管理人です。

通勤中や業務中に発生した交通事故、いわゆる「労災」における交通事故で何らかの後遺症がある場合、自賠責保険の後遺障害等級認定とは別に、労災保険の後遺障害認定を申請することができます。

自賠責保険と労災保険それぞれからの障害給付は必ず“支給調整”がされるため、二重取りになることはありませんが、労災保険からの「特別支給金」は支給調整対象外となるため、労災保険の後遺障害認定についてもしっかりと申請することが重要です。

今回は、労災における交通事故の後遺障害の扱いについて解説します。

労災保険の傷害等級とは

労災保険の傷害等級とは

労災保険は「労働者災害補償保険法施行規則」に基づき等級が定められています。

一方、自賠責保険は「自賠法施行令」に基づき等級が定められていますが、労災の認定基準に準じて等級認定が行われるため、基本的な認定基準はどちらも同じです。

ただし、認定方法の違いから、結果が異なることもあります。

労災保険の障害等級と支給額

労災保険の障害等級と支給額は、『厚生労働省 障害(補償)給付の請求手続』によると下記のとおりとなっています。

障害等級 障害(補償)給付 (年金or一時金) 障害特別支給金
(一時金のみ)
障害特別年金 or 障害特別一時金
第1級 年金 給付基礎日額313日分 342万円 年金 算定基礎日額313日分
第2級 給付基礎日額277日分 320万円 算定基礎日額277日分
第3級 給付基礎日額245日分 300万円 算定基礎日額245日分
第4級 給付基礎日額213日分 264万円 算定基礎日額213日分
第5級 給付基礎日額184日分 225万円 算定基礎日額184日分
第6級 給付基礎日額156日分 192万円 算定基礎日額156日分
第7級 給付基礎日額131日分 159万円 算定基礎日額131日分
第8級 一時金 給付基礎日額503日分 65万円 一時金 算定基礎日額503日分
第9級 給付基礎日額391日分 50万円 算定基礎日額391日分
第10級 給付基礎日額302日分 39万円 算定基礎日額302日分
第11級 給付基礎日額223日分 29万円 算定基礎日額223日分
第12級 給付基礎日額156日分 20万円 算定基礎日額156日分
第13級 給付基礎日額101日分 14万円 算定基礎日額101日分
第14級 給付基礎日額56日分 8万円 算定基礎日額56日分

「給付基礎日額」とは、原則として“労働基準法の平均賃金に相当する額”のことですが、毎年、前年度と比較した賃金水準の変動率に応じて増額または減額されるほか、年齢階層別の最低・最高限度額も適用されます。

「算定基礎日額」とは、原則として“労災事故が発生した日または診断によって病気が確定した日以前1年間に、その労働者が事業主から受けた特別給与(ボーナスなど)の総額を365で割った額”のことです。

上記の表のとおり、障害等級1~7級に該当する場合は“年金”となり、障害等級8~14級に該当する場合は“一時金”となるため、障害等級7級(給付基礎日額131日分を毎年支給)と障害等級8級(給付基礎日額503日分を1回のみ支給)の間には大きな差があることになります。

特別支給金は支給調整の対象外

自賠責保険から後遺障害の保険金が支払われる場合は、その金額から慰謝料額を差し引いた分について、労災保険の障害給付(「障害(補償)年金」あるいは「障害(補償)一時金」)との支給調整がされます。

しかしながら、「障害特別支給金」、「障害特別年金」、「障害特別一時金」は、自賠責保険との支給調整の対象外であるため、別途支給されることになります。

労災保険の後遺障害認定申請方法

労災保険の後遺障害認定申請方法

交通事故の傷病の状態が安定し、これ以上の医療効果が期待できなくなった状態、つまり「治癒(症状固定)」となると、後遺障害の申請をすることができます。

労災の場合は「労働基準監督署」に申請して、後遺障害の等級認定をしてもらう必要があります。

労災における後遺障害認定の流れ

治癒から後遺障害認定をしてもらうまでの流れは下記①~⑥のとおりとなります。

① 治癒(症状固定)

② 労働基準監督署または厚生労働省HPから必要な書類用紙を入手

③ 請求書に記入(事業主による証明が必要)

④ 診断書に記入(医師が記入)、レントゲン写真等の資料を用意

⑤ 労働基準監督署に請求書、診断書等を提出

⑥ 労働基準監督署で審査・等級認定

レントゲン写真等の資料は、必要に応じて提出します。

労働基準監督署に提出する書類

労働基準監督署に提出する書類は下記のとおりです。

労災の分類 必要な書類
業務災害 様式第10号 障害補償給付支給請求書
様式第10号用 診断書(障害補償給付請求用)
通勤災害 様式第16号の7 障害給付支給請求書
様式第16号の7用 診断書(障害給付請求用)
様式第16号の7(別紙) 通勤災害に関する事項

この他にも、必要に応じて別途書類を用意します。なお、「特別支給金」の支給申請は、「障害(補償)給付」の請求と同時に行うことが原則となっており、同じ様式を使用して申請します。

請求の時効に要注意

治癒した日の翌日から5年を経過すると、時効により後遺障害の請求権が消滅して申請ができなくまってしまうため、注意が必要です。

治癒後に何らかの後遺症があると感じた時は、早めに申請手続きを進めるようにしましょう。

認定内容に不服がある場合

労働基準監督署の認定に不服がある場合は、その認定を知った日の翌日から3か月以内であれば審査請求をすることができ、さらに不服がある場合は、その認定を知った日の翌日から2か月以内であれば再審査請求をすることができます。

しかしながら、一度決定した労働基準監督署の認定内容が変わるケースは稀であり、審査請求には非常に手間と時間もかかることから、最初に申請する時にしっかりと準備して、慎重に申請することが大切です。

自賠責保険と労災保険のどちらを先に申請?

自賠責保険と労災保険のどちらを先に申請?

それでは、自賠責保険と労災保険、どちらを先に申請するとよいのでしょうか。

自賠責保険と労災保険それぞれに後遺障害の認定を申請する場合、“支給調整”が必要となりますので、一般的には「先に自賠責保険に申請し、自賠責保険の後遺障害等級認定を受けてから労災保険に申請する」という方が、スムーズに手続きができると言われています。

ただし、加害者が任意保険に未加入だった場合には、労災保険を先に使用した方が有利になることが多いため、個別のケースごとに、どちらを先に申請すべきかを考える必要があります。

まとめ

 まとめ

今回は、労災における交通事故の後遺障害の扱いについて解説しました。

労災における交通事故で何らかの後遺症がある場合は、自賠責保険の後遺障害等級認定とは別に、労災保険の後遺障害認定を申請することができます。

労災保険は「労働者災害補償保険法施行規則」に基づき第1級~第14級まで障害等級が定められています。

障害等級1~7級に該当する場合は“年金”、障害等級8~14級に該当する場合は“一時金”となるため、7級と8級の間には大きな差があります。

自賠責保険と労災保険の障害給付は支給調整がされますが、「障害特別支給金」、「障害特別年金」、「障害特別一時金」は、自賠責保険との支給調整の対象外となります。

労災の後遺障害は、治癒した日の翌日から5年以内に、請求書や診断書等の必要書類を「労働基準監督署」に提出し、「労働基準監督署」が等級の認定を行います。

また、その認定に不服がある場合は審査請求や再審査請求をすることができますが、一度決定した労働基準監督署の認定内容が変わるケースは稀であるため、最初の申請時にしっかりと準備して、慎重に申請することが大切です。

なお、一般的には「先に自賠責保険に申請し、自賠責保険の後遺障害等級認定を受けてから労災保険に申請する」という方が、支給調整の関係でスムーズに手続きができると言われています。

しかし、労災保険を先にした方が良い場合もありますので、個別のケースごとに、どちらを先に申請すべきかを考える必要があります。

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