交通事故の休業損害 学生の場合の相場や計算方法は?

こんにちは、管理人です。交通事故による受傷のため、通常のように働くことができなくなった場合の補償として、「休業損害」があります。

被害者が学生だった場合、原則として休業損害は認められません。しかしながら、学生の中には勉強をしながらアルバイトで生計を立てている人もおり、学生であっても休業損害が認められる場合がいくつかあります。

今回は、学生の休業損害について詳しく解説します。

学生でも休業損害が認められる場合とは

学生でも休業損害が認められる場合として、2つの代表的なケースを説明します。

事故によりアルバイトができなくなった場合

ある程度長期的に継続してアルバイトをしていた学生の場合、事故でアルバイトができなかった期間について、休業損害が認められます。

ただし、学生の場合は授業や試験と兼ね合いをしつつアルバイトをしているため、雇用状態が安定しているとは言えません。

従って、過去の就労状況や継続性、試験日程なども考慮した上で、現実的な就労予想時間にもとづく休業損害を算出していくことになります。

事故により卒業や就職などの時期が遅れた場合

事故による治療が長引いて卒業や就職が遅れてしまった場合、予定どおり就職していれば得られたはずの給与額について、休業損害が認められます。

なお、事故により余分に必要となった授業料などについては、損害賠償として請求が認められた裁判例があります。

学生の休業損害算出方法

学生が休業損害を請求できる2つのケースの休業損害算出方法について、それぞれ説明します。

アルバイトができなくなった場合の休業損害

まず、アルバイト収入を証明するために、下記の書類を準備します。

 
 ・休業損害証明書
 ・源泉徴収票

シフト制のアルバイトなどで、休業日数が確定できる場合には、下記の計算式で休業損害を算出します。

休業損害額 = 日給×休業日数

ただし、学生の場合、試験前や就職活動、卒業論文作成などで忙しい時期には、アルバイト日数を減らす可能性が高くなると考えられます。従って、実際の裁判例では、現実的な就労予想日数を考慮した上での休業損害が認められています。

いくつか裁判例をご紹介します。

【裁判例1:名古屋地判平成23年2月18日】
大学生(男・20歳)の事例。大学3年生になったばかりで、就職活動のために直ちにアルバイトを自粛しなければならない状況にはなかったなどとして、事故前日までの102日間の実収入を基礎に、症状固定まで384日間約199万円を認めた。
【裁判例2:東京地判平成14年4月18日】
大学に通いつつ、ラーメン屋で過密なスケジュールで働いていた大学生の事例。通学時間や講義の時間帯から考えると、同様のペースで働き続けられるとは考えられないとして、基礎収入額を事故前の4分の3と認定。
【裁判例3:名古屋地判平成20年9月19日】
大学1回生(男・18歳、左足関節機能障害12級7号)の事例。家庭教師等で月額10万円を得ていたが、事故に遭わなくてもクラブ活動や就職活動開始によりアルバイトを減らしていた可能性があるとして、1234日の治療期間のうち、アルバイト収入の6割相当額を基礎として算定。

卒業や就職などの時期が遅れた場合の休業損害

事故に遭ったことで卒業や就職の時期が遅れた場合の休業損害は、給与金額を明確に推定できるかどうかにより、下記のとおり算出方法が異なります。

給与金額の推定可否 休業損害の算出方法
給与金額が推定できる 会社から内定をもらっていれば、その会社の給与支給実績から初任給などの給与金額を推定して算出する。
給与金額が推定できない 厚生労働省が公表している「賃金センサス」の学歴別初任給平均値などを利用して算出する。

いくつか裁判例をご紹介します。

【裁判例1:名古屋地判平成14年9月20日】
就職が内定していた修士課程後期在学生(男・27歳)の事例。事故により就職内定が取り消され症状固定まで就業できなかった場合に、就職予定日から症状固定まで2年6ヶ月余の間、就職内定先からの回答による給与推定額を基礎に、955万円余りを認めた。
【裁判例2:横浜地判平成11年7月28日】
短大生(女・20歳)の事例。事故のため就職活動ができなかったことなどから1年間の就職の遅れが生じた場合に、「賃金センサス」の女性短大卒20歳から24歳平均を基礎に、1年分の休業損害を認めた。
【裁判例3:東京地判平成12年12月12日】
大学生(男・21歳)の事例。事故により留年し1年半就職遅れが生じた場合に、「賃金センサス」の男性大卒20歳から24歳平均を基礎に、就職遅れの期間分、479万円余りを認めた。

まとめ

今回は、学生の休業損害について解説しました。

被害者が学生だった場合、原則として休業損害は認められません。ただし、下記のような場合には休業損害が認められることがあります。

 ・事故によりアルバイトができなくなった場合
 ・事故により卒業や就職などの時期が遅れた場合

事故によりアルバイトができなくなった場合は、アルバイト収入を証明する資料などをもとに休業損害を算出します。

ただし、学生の場合、試験前や就職活動など忙しい時期にはアルバイト日数を減らす可能性が高いため、現実的な就労予想日数を考慮した休業損害が認められています。

また、事故により卒業や就職などの時期が遅れた場合は、給与金額を明確に推定できるかどうかによって算定方法が異なります。

給与金額を推定できる場合は、その金額をもとに休業損害を算出し、推定できない場合は、「賃金センサス」の学歴別初任給平均値を利用することが多いです。

このほか、事故により余分に必要となった授業料などについても、損害賠償として請求できることがあります。

どのような請求ができるのかは個々のケースによるため、必要に応じて交通事故に詳しい弁護士などに相談するとよいでしょう。

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